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養子縁組以外の相談
ISSJは、「国際」という文字通り、二か国あるいはそれ以上の国々の関わりの中で解決しなければならない問題を持つ個人あるいは家族への相談に応じている。実際、国際的問題は複雑で当事者自身で解決出来ない場合が多い。それ故、問題を解決するには国際機関の関与を必要とし、ISS支部や連絡員等の全面協力、援助が不可欠であり、同時に、日本政府の協力、援助も必要である。特に外務省、法務省、あるいは厚生省などの援助や、在日各国政府機関の協力援助も不可欠であることは言うまでもない。
ISSJのソーシャルワーカーは国際的実践の場で、人種、国籍、宗教、政治、社会背景などの区別なく、相談援助を必要とする人々の相談に応じている。
国際結婚、離婚、離婚に伴う親権、扶養費、面会権等の問題に加え、未成年者の虐待、本国への送還が必要な子どもの遺棄の問題に関する相談が近年多くなっている。また、養子になった者からの実親探し、あるいは実親側から遺産相続事件にからんで養子となった実子探し等の依頼にも相談に応じている。
「民間」というISSJの性質上、問題解決の現場で、我々の力の限界に突き当たる事もある。この様な場合、「我々の情熱」を政府関係機関にぶつけ、政府の援助を借り、側面から我々の出来る範囲内でソーシャル・ワーカーとしての責任、任務を果たす様努力をしている。
[事例4. 虐待する父から実子を分離したケース]
この事例は、ISSJと児童相談所が相互に理解と援助・協力の下、在日外国人未成年者を保護者である実父から分離し、関係者の属する国の政府機関に身柄を移管する処置が取られ、子どもらの福祉を守る事に成功したケースである。
分離の理由は父親の子どもへの虐待であり、処置の基になった法は出入国管理及び難民認定法、及び児童福祉法25条及び34条違反等である。ISSJは社会福祉法人ではあるが、職権での行政処分を伴う場合の問題解決には日本政府機関の協力を必要とした。
ISSJはX国のISS支部から、要注意のX国籍父52歳、子(8歳、7歳、5歳)が、日本に入国したので、子どもの福祉を守るため父子らの調査をして欲しい旨の連絡を受けた。日

 

 

 

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